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最高裁判所第二小法廷 昭和63年(あ)1257号 決定 1989年7月07日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人田中宏の上告趣意は、判例違反をいうが、原審認定に沿わない事実関係を前提とする主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

なお、一、二審判決の認定によれば、被告人は、一二階建集合住宅である本件マンション内部に設置されたエレベーターのかご内で火を放ち、その側壁として使用されている化粧鋼板の表面約〇・三平方メートルを燃焼させたというのであるから、現住建造物等放火罪が成立するとした原審の判断は正当である。

よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 藤島 昭 裁判官 牧 圭次 裁判官 島谷六郎 裁判官 香川保一 裁判官 奥野久之)

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